給食の1食ができるまで|厨房の裏側を時系列で全部見せます【給食歴16年】

給食の1食ができるまで|厨房の裏側を時系列で全部見せます 給食の仕事内容

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

このブログでは、検品、大量調理、盛り付け、洗浄、日報……と、給食の仕事をひとつずつ紹介してきました。今回はその総集編です。1食の給食ができあがって、片付けが終わるまでを、時系列でまるごとお見せします。

「給食の仕事ってどんな流れなの?」という方は、この記事から読み始めてもらえたら嬉しいです。各工程の詳しい話は、それぞれの記事への案内も付けておきます(※時間・手順は架空の一例です)。

この記事でわかること

  • 給食の1食ができるまでの全工程(検品から事務まで)
  • ある日の昼食チームの時間割(一例)
  • 新人さんがどの工程から入るか

朝:厨房に入る前から仕事は始まっている

出勤したら、まず更衣室で白衣に着替えます。髪を帽子に全部しまって、マスクをして、全身にコロコロ。身だしなみの5分間を終えて、手洗いをして、ようやく厨房に入れます。

朝イチの厨房でやることは、体調チェックの記録と、冷蔵庫・冷凍庫の温度確認。ここから1日の記録が始まります。

検品:食材が「使っていいもの」か確かめる

業者さんから食材が届いたら検品です。発注書と現物を突き合わせて、数・品質・温度を確認します。食材管理の記事で書いたとおり、ここは異変の早期発見装置。もし「豆腐が来てない!」となったら、トラブル対応の引き出しの出番です。

下処理:野菜と向き合う静かな時間

野菜を洗い、皮をむき、切る。煮物の記事で書いた「切り方をそろえる」はここで決まります。下処理の丁寧さが、火の通りと仕上がりを左右する——地味ですが、料理の半分は下処理だと思っています。

調理:段取りと温度の勝負

ここからが大量調理の本番です。提供時間から逆算して、ごはんを炊き、汁物を仕込み、主菜副菜を仕上げていきます。

そして安全の要、中心温度の確認。揚げ物でも煮物でも、加熱料理は中心温度75℃以上・1分以上を測って記録します。「たぶん火が通った」は給食にはありません。

検食と保存食:提供前の最後の関門

できあがった食事は、提供前に責任者が検食します。味・見た目・異物・温度をチェックして記録。同時に保存食(万一のときの検査用サンプル)を取り分けて冷凍します。ここを通って、はじめて「出せる食事」になります。

盛り付け:「おいしそう」を作る仕上げ

盛り付けは彩りとこんもり感、そしてスピードの勝負。同時に、きざみ食やペースト食など食事形態の作り分け、アレルギー対応、とろみの調整——一人ひとりに合わせた「その人の1食」を、名簿と食札で間違いなく作ります。

提供:食事の時間はあっという間

配膳車に載せて、温かいものは温かいまま提供へ。食事の時間の厨房は、次の食事の仕込みと洗い物が同時に走る、1日で一番忙しい時間帯です。厨房のドタバタは、だいたいここで起きます。

下膳:お皿は「アンケート用紙」

戻ってきたお皿は、ただ洗うだけではありません。残食の記事で書いたとおり、何がどれだけ残ったかは利用者さんからのメッセージ。「今日の煮物、よく食べてもらえたな」を確認してから、洗浄に回します。

洗浄と掃除:明日の仕事はここから始まる

食器と器具の洗浄・消毒、そして床・排水溝・グリストラップの掃除。「洗った」ではなく「乾いた」がゴールです。ピカピカに乾いた厨房は、明日の朝の自分たちへの贈り物です。

事務:数字で1日を締める

最後は事務仕事です。今日の食数と仕入を日報に記録して、予想原価を確認。この毎日5分の積み上げが、月末の請求書と原価管理の土台になります。数字まで書き終えて、ようやく「今日の給食が終わった」です。

ある日の時間割(昼食チームの一例)

流れを時間で並べると、こんなイメージです(※シフト・時間は架空の一例です)。

  • 8:30……出勤、身だしなみ、体調記録、温度チェック
  • 9:00……検品、下処理スタート
  • 10:00……調理本番。汁物仕込み、主菜の加熱、中心温度の確認
  • 11:15……検食・保存食。盛り付け開始、形態別・アレルギー対応
  • 12:00……提供。同時に夕食の仕込みと洗い物が走り出す
  • 13:00……下膳、残食チェック、洗浄
  • 14:30……休憩をはさんで、翌日の下処理や仕込み
  • 16:00……掃除。床・排水溝・作業台を「乾いた」まで
  • 17:00……日報と発注の確認。数字を書いて1日終了

ポイントは、工程が一列に並ばず、常に2〜3個同時に走ること。昼食を出しながら夕食を仕込み、洗い物をしながら明日の発注を考える。だから給食の仕事は「段取りが9割」なんです。

新人さんはどの工程から入るの?

この全部をいきなりやるわけではないので、安心してください。最初は洗浄や盛り付け、下処理から入って、工程をひとつずつ覚えていくのが普通です。新人がまず覚える10のことで書いたとおり、最初に求められるのは技術より姿勢。半年もすれば、この記事の流れが体に入って、1日が組み立てられるようになります。

早見表:工程ごとに「確かめること」と「残す記録」

1食ができるまでの工程は、それぞれに確かめることと、残す記録があります。全部を1枚の表にまとめると、次のようになります。

※記録の種類や様式は施設・会社によって違います。下は一般的な例です。

工程 確かめること 残す記録
朝(入室前) 体調、手の傷、身だしなみ 健康チェック表
検品 数量、品温、期限、外観 検収記録
下処理 洗浄、生で出す野菜の殺菌、まな板の使い分け 殺菌の濃度と時間
調理 中心温度75℃で1分以上、冷やすものは冷却の時間 加熱・冷却の温度記録
検食・保存食 原材料と完成品を各50g程度、−20℃以下で2週間以上 保存食の記録、冷凍庫の温度
盛り付け 形態、とろみ、アレルギー、品数 配膳前の確認
提供 名前と料理の確認、調理後2時間以内 提供時刻
下膳 残った量、どの形態の人が残したか 残食の記録
洗浄・掃除 器具の殺菌と乾燥、場所ごとの掃除 清掃記録
事務 食数、仕入金額、予想原価 日報

こうして並べると、給食の1食は料理であると同時に、記録の積み重ねでもあることがわかります。どの記録も、何かあったときに「きちんとやっていた」ことを示すためのものです。

記録の書き方は給食の衛生記録の書き方、マニュアルの数字は衛生管理マニュアルを「数字」で読むにまとめています。

まとめ:1食の裏側に、これだけの工程がある

  • 身だしなみ→検品→下処理→調理→検食→盛り付け→提供→下膳→洗浄・掃除→日報
  • どの工程にも「安全」と「おいしい」を支える理由がある
  • 1食は調理だけでできていない。記録と掃除と数字まで含めて給食の仕事

あたりまえのように毎日出てくる給食の1食は、こういう工程の積み重ねでできています。どこか一つでも「へえ、そうなんだ」があったら、その工程の記事をのぞいてみてください。この仕事に興味が湧いた方は未経験からの始め方と給食社員の1日もどうぞ。

👇 こちらの記事もおすすめ

タイトルとURLをコピーしました