給食の厨房で飛び交う言葉30【新人が最初に戸惑う用語をやさしく解説】

給食の厨房で飛び交う言葉30|キッチンのりちゃん 給食の仕事内容

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

給食の厨房には、家庭の台所では聞かない言葉がたくさんあります。「検収終わった?」「それ番重に移して」「この方はきざみでとろみ中間」……。入ったばかりの人にとっては、作業より先に言葉で戸惑うことが少なくありません。私も料理経験がほとんどない状態で入社したので、最初は覚えることの多さに驚きました。

今回は、給食の厨房で毎日のように飛び交う言葉を30個、1日の流れに沿って6つのグループに分けてまとめます。全部を一度に覚える必要はありません。「聞いたことがある」くらいになっておくだけで、最初の1か月がだいぶ楽になります。

※呼び方や使い方は会社・施設によって違います。ここでは高齢者施設の給食で使われることの多い意味で書いています。

この記事でわかること

  • 給食の厨房でよく使う言葉30(場面別に6グループ)
  • 衛生や食事の形に関する言葉の意味
  • 言葉を早く覚えるコツ

① 朝の受け取りから仕込みまで(5語)

1. 検収(けんしゅう)

業者さんから届いた食材を受け取るときの確認です。数量・鮮度・品温・期限・包装を見て、記録します。厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルでも、調理従事者が立ち会って確認することになっています。詳しくは検収の記事にまとめています。

2. 下処理(したしょり)

洗う・皮をむく・筋を取る・解凍するなど、切ったり加熱したりする前の作業です。下処理は「汚れたものを扱う場所」でやるのが決まりで、これが後で出てくる汚染作業区域の話につながります。

3. 番重(ばんじゅう)

食材や切った野菜を入れて運ぶ、浅くて四角い大きな容器です。重ねて置けるので、仕込んだものを並べておくのに使います。「番重に移して」と言われたら、この箱に入れてという意味です。

4. 先入れ先出し(さきいれさきだし)

先に届いたものから先に使う、という在庫の基本です。新しい食材を棚の奥に、古いものを手前に置きます。期限切れや食材の無駄を防ぐための、地味ですが大事なルールです。

5. 段取り(だんどり)

何をどの順番で、どの器具を使って作るかの組み立てです。給食は全員分を同じ時間に出すので、配膳時刻から逆算して決めます。「段取りがいい人」は厨房でいちばんほめられる言葉かもしれません。考え方は大量調理の段取りの記事に書いています。

② 厨房の道具(5語)

6. スチコン

スチームコンベクションオーブンの略です。蒸す・焼く・蒸し焼きを1台でこなせる、給食の主力の機械です。

7. 回転釜(かいてんがま)

煮物や汁物を一度にたくさん作る大きな釜です。釜ごと傾けて中身を出せるので「回転」と呼ばれます。

8. ブラストチラー

加熱した料理を急速に冷やす機械です。和え物や冷たいおかずを作るときに、菌が増えやすい温度帯を早く通り過ぎるために使います。

9. ホテルパン

スチコンや保温庫に入れる、ステンレスの四角い容器です。大きさや深さに種類があり、料理に合わせて選びます。

10. 中心温度計(ちゅうしんおんどけい)

料理のいちばん火が通りにくい所に差して温度を測る温度計です。給食では毎日使います。道具ごとの使い方は温度計の記事、機械の紹介は調理器具図鑑にまとめています。

③ 衛生の言葉(5語)

11. 汚染作業区域・非汚染作業区域

マニュアルでは、検収場・原材料の保管場・下処理場を汚染作業区域、調理場や盛り付けをする場所などを非汚染作業区域と分けています。「汚れている」という意味ではなく、「まだ洗っていない食材を扱う場所」と「仕上げに近い場所」を分けるための考え方です。区域をまたぐときは手を洗い、エプロンや履物を替えるのが基本です。

12. 二次汚染(にじおせん)

生の肉や魚についていた菌が、手・まな板・包丁などを通して、加熱後の料理や生で食べるものに移ってしまうことです。まな板や包丁を用途で分けるのはこれを防ぐためです。

13. 中心温度75℃1分

加熱した料理の中心が75℃で1分以上になっているかを確かめる、給食の基本の数字です。ノロウイルスのおそれがある食品は85〜90℃で90秒以上とされています。ほかの数字は衛生マニュアルを数字で読む記事にまとめました。

14. 次亜(じあ)

次亜塩素酸ナトリウムのことです。厨房では「次亜」と縮めて呼ぶことが多く、器具の消毒や、生で出す野菜の殺菌に使います。濃度と時間が決まっているので、目分量では作りません。洗浄と消毒の違いは洗浄と消毒の記事で詳しく書いています。

15. ドライ

床を水で濡らさずに使う厨房の運用のことで、ドライシステムとも言います。床がぬれていると跳ね水で菌が広がり、滑って転ぶ原因にもなります。マニュアルでも、ドライシステム化を進めることが望ましいとされています。

④ 食事の形の言葉(5語)

16. 常食(じょうしょく)

形を変えていない、ふつうの食事です。ここを基準にして、かむ力や飲み込む力に合わせて形を変えていきます。

17. きざみ

おかずを細かく刻んだ形です。「粗きざみ」「極きざみ」など、細かさで呼び分ける施設もあります。

18. ソフト食・ペースト食

やわらかく仕上げたり、なめらかにすりつぶしたりした形です。呼び方は施設ごとにかなり違うので、最初に現場の呼び方と見た目を一緒に覚えるのが近道です。形態ごとの作り分けは食事形態の記事にまとめています。

19. とろみ

飲み物や汁物に、とろみ剤で粘りをつけることです。水やお茶は口の中を流れるのが速く、むせやすいためです。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の分類では「薄い」「中間」「濃い」の3段階があり、厨房でも「とろみ中間」のように呼びます。詳しくは水分補給の記事へ。

20. 二相性(にそうせい)

汁と具、水分と固形物のように、かたさの違うものが一緒に口に入る状態のことです。飲み込みが弱い方はむせやすくなるので、汁物や麺類では特に気をつけます。汁物の記事でも触れています。

⑤ 出すまで・出したあと(5語)

21. 食札(しょくふだ)

利用者さん一人ひとりの食事形態・アレルギー・禁止食品などが書かれた札です。盛り付けや配膳のときに必ず見ます。アレルギー対応の確認方法はアレルギー対応の記事に書いています。

22. 検食(けんしょく)

食事を出す前に、責任者が実際に食べて味や温度、異物がないかを確かめることです。結果は記録に残します。

23. 保存食(ほぞんしょく)

何かあったときに原因を調べられるよう、原材料と出来上がった料理を50g程度ずつ取り分け、-20℃以下で2週間以上保存しておくものです。マニュアルではこれも「検食」と書かれているので、現場によっては保存食のことを検食と呼ぶこともあります。違いは検食と保存食の記事で詳しく書いています。

24. 配膳・下膳(はいぜん・げぜん)

配膳は食事を利用者さんのもとへ届けること、下膳は食べ終わった食器を下げてくることです。下膳のときは、どの料理がどれくらい残っているかも見ます。

25. 残食(ざんしょく)

食べ残しのことです。残食の量や中身は、味付けや食べやすさを見直すいちばんの手がかりになります。見方は残食を減らす記事にまとめています。

⑥ 数字と人の言葉(5語)

26. 食数(しょくすう)

その日、その食事で何食作るかの数です。朝・昼・夕でも、形態ごとでも数えます。発注も盛り付けも、すべてこの数字から始まります。

27. 欠食(けっしょく)

入院や外出、外泊などで食事が要らなくなることです。欠食が出たら食数を減らし、その分は発注や請求にも反映します。食数の扱い方は発注と食数管理の記事へ。

28. 日報(にっぽう)

その日の食数や仕入れの金額などを記録する、現場の毎日の報告書です。調理だけの担当でも、名前だけは早いうちに耳にすると思います。中身は日報の記事で紹介しています。

29. 棚卸(たなおろし)

月末に、厨房に残っている食材や消耗品を数えて金額を出す作業です。その月にいくら使ったかを正しく出すために欠かせません。数え方のコツは棚卸の記事に書いています。

30. 申し送り(もうしおくり)

次の勤務の人や、施設の職員さんに伝えておくことです。「〇〇さんは今日から形態変更」「明日の朝は食材の納品が遅れる」など、口頭とノートの両方で伝えるのが基本です。

言葉を早く覚えるコツ

  • 分からない言葉はその場で聞く……聞き返すのは恥ずかしいことではありません。食札や温度の話は、分からないまま進める方がずっと危ないです
  • メモ帳を1冊持つ……聞いた言葉を書いておき、休憩中に見返します
  • 物と言葉をセットで覚える……番重やホテルパンは、実物を見ればすぐ覚えられます
  • 呼び方は現場に合わせる……ソフト食やきざみの呼び方は施設ごとに違います。前の職場の呼び方にこだわらないのが近道です

新人のうちに覚えておくと楽なことは新人が覚える10のことにもまとめています。

まとめ

  • 給食の厨房の言葉は、受け取り・道具・衛生・食事の形・出すまで・数字と人の6つに分けると覚えやすい
  • 衛生の言葉(汚染作業区域・二次汚染・中心温度・次亜・ドライ)は、どれも食中毒を防ぐための決まりから来ている
  • 食事の形の言葉(きざみ・とろみ・二相性)は、利用者さんの安全に直接かかわる。呼び方は施設ごとに違う
  • 食数・欠食・日報・棚卸は、調理担当でも毎日耳にする数字の言葉
  • 分からない言葉はその場で聞き、メモに残すのがいちばんの近道

言葉が分かるようになると、厨房で何が起きているのかが見えてきて、仕事がぐっと面白くなります。1食ができるまでの全体の流れは1食ができるまでの記事で追えるので、あわせて読んでみてください。これから給食の仕事を始める方の参考になればうれしいです。

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