給食の年末年始、厨房はこう動く【12月28日から1月4日までの日めくりのリアル】

給食の年末年始、厨房はこう動く【12月28日から1月4日までの日めくりのリアル】|キッチンのりちゃん 給食の仕事内容

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

面接でよく聞かれる質問のひとつが「年末年始は休めますか?」です。正直に答えると、厨房は12月31日も1月1日も動いています。利用者さんは毎日3食を食べるので、給食に「仕事納め」はありません。ただし、休みがないわけではなく「交代で休む」のが給食の年末年始です。

今回は、12月28日から1月4日までの8日間を、1日ずつめくる形で追ってみます。世間が休みに入る日に厨房で何が起きているのか、何を前倒しし、何に気をつけるのか。これから給食の仕事を始める人が、最初の年末年始をイメージできるように書きました。

※この記事の日付の流れ・数字・やりとりは、高齢者施設の厨房をもとにした架空の一例です。施設や会社によって献立・シフト・業者の休みは違いますので、自分の現場の案内を優先してください。

この記事でわかること

  • 年末年始の厨房が交代で休む仕組み
  • 12月28日から1月4日まで、1日ずつの厨房の動き
  • 正月に餅を出さない理由と、休みの希望の出し方

結論:年末年始は「全員いっせい」ではなく「交代」で休む

先に働く側がいちばん気になることを書きます。年末年始の休みは、法律で決まった休日ではありません。労働基準法が会社に義務づけているのは週に1日以上、または4週間に4日以上の休日で、12月29日から1月3日を休みにするかどうかは会社ごとの決まりです。給食の現場では、この期間も通常どおり週の休日を取りながら、年末か年始のどちらかを多めに休む、という組み方が一般的です。

年末年始に出た分の手当がつくかどうかも会社の制度です。法律上の割増がつくのは、法定休日に働いた場合(35%以上)や法定労働時間を超えた場合(25%以上)で、「12月31日だから」という理由では法律の割増はつきません。給与の仕組みは給与明細の見方でまとめています。

12月28日:世間の仕事納め、厨房は「業者の最終配送日」

この日の厨房でいちばん大事なのは、食材業者の年内最終配送がいつかを確認することです。多くの業者が12月29日か30日で年内の配送を止め、年始は1月4日か5日から再開します。つまり最大で5〜6日分の食材を、年内のうちに受け取って保管しておく必要があります。

ここで問題になるのが冷蔵庫と冷凍庫の容量です。普段の2倍近い食材が入ってくるので、先入れ先出しと保管の段取りを年末用に組み直します。日持ちする根菜と冷凍品を早めに受け取り、葉物と豆腐などの日持ちしないものを最終便に回す。これは発注の段階で決めておきます。

12月29日・30日:仕込みの前倒しと、おせちの最終確認

年末の2日間は、三が日の仕込みを前倒しする日です。年始は少人数シフトになることが多いので、下処理できるものは年内に済ませて冷蔵・冷凍しておきます。煮物の下ゆで、だしの準備、野菜のカット。ただし、前倒しした分は記録に日付を残し、保管温度を守ることが条件です。

おせちは、この時期に初めて考えるものではありません。行事食は前月の試作から始まるので、12月の初めには献立も形態別の作り方も決まっています。29日・30日にやるのは、食材がそろっているかの最終確認と、形態食用の分の試作です。

12月31日:年越しそばと、年末の棚卸

大みそかの夕食は年越しそばを出す施設が多いです。ここで気をつけるのは、麺類は高齢者にとって飲み込みにくいこと。短く切る、つゆにとろみをつける、形態によってはそばを使わず「年越し風」のうどんやにゅうめんに替える、といった工夫をします。「そばを出す」より「年越しの気分を全員に届ける」が目的です。

そしてこの日は月末でもあるので、棚卸があります。年末の大量仕入れで在庫が普段より多いため、数える量も増えます。年始の分として多く持っている在庫は、備考に「年始分」と一言書いておくと、本部の確認で「なぜ今月だけ在庫が多いのか」という電話が減ります。

1月1日:元日のお祝い膳と、餅を出さない理由

元日の昼食はお祝い膳です。敬老の日と並ぶ一年で大きなお祝いで、おせちの定番(黒豆、きんとん、なます、かまぼこ、煮しめ)を、常食からペースト食まで全部の形態で「同じお祝い」として出します。祝い箸や小さなカードを添える施設もあります。

そして、多くの高齢者施設では餅を出しません。消費者庁の分析では、餅による高齢者の死亡事故の43%が1月に起き、特に三が日に集中しています。だから雑煮は餅の代わりに、やわらかい団子や餅風のゼリー、つぶした里芋などで「餅らしさ」を作ります。利用者さんから「餅が食べたい」と言われることもありますが、ここは施設と栄養士の方針に従います。

元日は家族の面会が増える日でもあります。食事の時間に面会が重なると、食べる量が普段と変わります。残食が増えても、この日だけは「お祝い膳の量が多かった」と割り切ってよい日です。

1月2日・3日:正月らしさを残しつつ、普段の献立へ

2日・3日は、おせちの残り食材を使いながら、少しずつ普段の献立に戻していきます。業者がまだ休みなので、冷凍品と乾物、根菜が主役です。年末に「2日・3日は冷凍と乾物で組む」と決めて発注しておくと、この2日間が楽になります。

この時期はノロウイルスの本番でもあります。年末年始は帰省や面会で人の出入りが増え、厨房も少人数シフトです。手洗いの場面を省かない、体調が悪ければ休む、を年末年始こそ守ります。少人数で回しているときほど「ひとり休んだら回らない」と無理をしがちですが、調理員の体調不良は利用者さんの食中毒につながります。休む基準は年末年始でも同じです。

1月4日:初配送と通常運転、そして七草粥の準備

4日か5日に業者の配送が戻り、冷蔵庫に普段の景色が戻ります。初配送の検収は、年末の在庫と混ざらないように、日付をはっきり分けて保管します。

そして1月7日の七草粥の準備です。七草粥は「人日の節句」の行事食で、正月のごちそうで疲れた胃を休める意味があります。高齢者施設では、七草のセットを刻んで入れた粥を朝食に出すことが多く、常食の人にも粥で出せるので全形態に広げやすい行事食です。

休みの取り方:年末か年始か、11月中に希望を出す

働く側の実務として大事なのは、年末年始の休みの希望は11月のうちに出すことです。シフトを組む責任者は、年末と年始でメンバーを分け、全員がどちらかで休めるように調整します。遅くなるほど希望は通りにくくなります。

  • 年末か年始のどちらかを選ぶ:両方は難しい。「元日だけ」「大みそかだけ」のように絞ると通りやすい
  • 連休は前後にずらす:1月5日以降なら有給を足して連休にしやすい
  • 早番・遅番の組み合わせを見る:早番と遅番で出勤日数は同じでも、拘束の感じ方が違う
  • 帰省する人を先に:遠方の家族がいる人を優先する現場が多い。その分、別の時期に自分の希望を通す

正直に言うと、世間が休みの日に働くのはさみしいときもあります。ただ、年末年始に出た分、1月中旬以降の空いている時期にゆっくり休めるのは、この仕事のよさでもあります。お盆も同じ考え方で、1年のカレンダーで見ると、混む時期と空く時期がはっきりしています。

よくある質問

Q. 年末年始に出ると手当はつきますか?

会社の制度によります。年末年始手当を出す会社もあれば、通常の給与と同じ会社もあります。法律上の割増は、法定休日や法定労働時間を超えた分にだけつきます。面接や契約書で「年末年始の扱い」を聞いておくと安心です。

Q. 正月に休めない仕事は、家族がいる人には向きませんか?

向き不向きというより「どこで休むか」の問題です。年末か年始のどちらかは休めることが多く、1月中旬以降は希望が通りやすくなります。保育園や学校のように長期休みがある業態とは違う、というだけです。

まとめ

給食の年末年始は、12月28日の最終配送の確認から始まり、仕込みの前倒し、年越しそばと棚卸、元日のお祝い膳、冷凍と乾物でつなぐ2日・3日、初配送と七草粥の準備、と流れていきます。餅は出さず、ノロと体調は普段以上に気をつけ、休みは交代で取る。これが厨房の年末年始です。希望は11月のうちに。それだけ覚えて帰ってください。

冬の献立全体は冬メニューの工夫で、形態別の作り分けは食事形態のリアルで書いています。

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