給食調理員が休む基準|下痢・嘔吐・熱・インフル・家族の感染、症状別の出勤判断と復帰・お金の話

給食調理員が休む基準|症状別の出勤判断|キッチンのりちゃん 衛生管理

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

10月に入ると、厨房の空気が少し変わります。朝の体調チェックで「のどが痛い」「家族が熱を出した」という声が増え、11月にはノロウイルス、12月にはインフルエンザ。給食の現場にとって、秋から冬は「休む判断」を毎日迫られる季節です。

そして、この判断を間違えると、被害は自分ではなく利用者さんに行きます。高齢者施設では、調理員1人の下痢が、施設全体の集団感染の入口になり得ます。だから給食の現場では、体調が悪いときに休むのは「権利」ではなく「義務」です。

今日は、症状別に「出勤していいのか、休むのか」の判断を整理して、休むときの連絡の仕方、復帰の基準、休んだときのお金の話まで書きます。本番が来る前に、頭に入れておいてください。

※判断の基準は厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルと一般的な情報にもとづく執筆時点の内容です。実際の運用は会社の就業規則と、施設・保健所の指示に従ってください。事例は架空の一例です。

ルールの土台は3つ

「なんとなく厳しい」のではなく、根拠があります。

  • 大量調理施設衛生管理マニュアル……調理従事者は下痢、嘔吐、発熱などの症状があったとき、手指に化膿した傷があるときは調理作業に従事しない。下痢や嘔吐があれば直ちに受診して感染性の病気かどうか確認する。ノロウイルスと診断されたら、検便で保有していないと確認されるまで食品を直接扱う作業を控える。責任者にも「従事させない」義務があります
  • 感染症法……腸管出血性大腸菌(O157など)のような三類感染症にかかると、法律で食品を扱う仕事に就くことが制限されます。一方、ノロウイルスは五類で法律上の就業制限はありません。それでも現場が厳しいのは、上のマニュアルがあるからです
  • インフルエンザ……出勤停止の期間は法律では決まっていません。学校の出席停止基準「発症後5日、かつ解熱後2日」を目安にする会社が多く、私の会社もそうです。就業規則で確認してください

マニュアルの数字全体は衛生マニュアルを数字で読む記事にまとめています。

症状別:出勤するか、休むか

下痢・嘔吐がある → 休む。その日のうちに受診

迷う余地がない症状です。調理作業には入れません。「軽いから」「1回だけだから」は通用しません。マニュアルは「直ちに医療機関を受診し、感染性疾患の有無を確認する」と書いています。ノロウイルスなら、症状が消えても検便で陰性が確認されるまで食品を直接扱う作業には戻れません。ノロの対策全体はノロ対策の記事に書きました。

熱がある → 休む

発熱も、マニュアルが名指しで「従事しない」としている症状です。インフルエンザの疑いがあれば受診して、診断がついたら会社の基準どおりに休みます。「熱は下がったから」と早く戻るのが一番危ないので、解熱後の日数まで数えるのを忘れずに。

咳・鼻水だけ(熱なし) → 責任者に申告して判断を仰ぐ

ここが一番グレーです。マニュアルには明記がなく、現場の判断になります。私の現場では、熱がなければマスクと手洗いを徹底して出勤、ただし盛り付けなど食品に近い作業からは外すことが多いです。大事なのは「自分で決めない」こと。朝の体調チェックで申告して、責任者に決めてもらいます。日々のチェックの中身は検便と健康管理の記事に。

手に傷がある・化膿している → 調理に入らない

傷そのものが問題なのではなく、傷につく黄色ブドウ球菌が問題です。化膿していれば調理作業は不可。小さな傷でも申告して、手袋と担当の調整をします。この話は手荒れの記事ケガと労災の記事で書いたとおりです。

家族が感染した(自分は元気) → 必ず申告

自分に症状がなくても、同居の家族がノロウイルスやインフルエンザにかかったら、出勤前に責任者へ申告してください。多くの現場では、申告をもとに担当を調整したり、家庭での手洗いや嘔吐物処理の注意を伝えたりします。ノロウイルスは、症状がない人でも保有していることがあります。「自分は元気だから言わなくていい」が、一番怖いパターンです。

腸管出血性大腸菌などと診断された → 法律で就業制限

検便で出ることが多いケースです。これは会社の判断ではなく、法律で食品を扱う仕事に就けない期間が決まります。保健所の指示に従って、陰性が確認されるまで待ちます。

休むときの連絡は「4つ」を伝える

調理員が1人抜けると、その日のシフトに穴が開きます。だから連絡は早く、短く、必要なことだけ。

  • ①症状……下痢なのか、熱なのか、家族の感染なのか。判断はこれで決まります
  • ②いつから……昨夜からなのか、今朝からなのか。潜伏期間の推定に要ります
  • ③受診の予定……今日行くのか、行ったのか、診断名は出たのか
  • ④自分の担当……今日の自分の持ち場と、引き継ぐべきこと(仕込み済みの物、納品予定など)

この4つを、朝一番に電話で。メールやチャットだけでは、責任者が見る前にシフトが始まってしまいます。トラブル時の「3秒で報告」と同じ考え方で、トラブル対応の記事にも通じます。

復帰の基準を、あらかじめ知っておく

  • ノロウイルス……症状が消えてから、検便で陰性を確認して復帰。検査には日数がかかるので、1週間以上空くことが普通です
  • インフルエンザ……発症後5日かつ解熱後2日が一般的な目安。会社の基準で確認
  • ノロ以外の胃腸炎……症状が消えてから、会社のルールに従って。医師の許可を求める会社もあります
  • 発熱のみ(診断なし)……解熱して体調が戻ってから。ここも自己判断ではなく、責任者に相談を

復帰の日は、「もう大丈夫です」の一言より、「○日から症状なし、○日に陰性確認」と日付で言うほうが、責任者は判断しやすいです。

休んだときのお金の話

事務担当として、ここも書いておきます。

  • 有給休暇……まず使えるのはこれ。体調不良での取得は正当な理由です
  • 傷病手当金……仕事以外の病気やけがで連続して休んだとき、健康保険から出る手当です。休み始めて3日間の待期のあと、4日目から給料のおおよそ3分の2が支給されます。数日で治る風邪では使う場面は少ないですが、長引いたときのために知っておいてください。パートさんでも健康保険に入っていれば対象です
  • 労災との違い……仕事中のケガは労災、仕事以外の病気は傷病手当金。別の制度です。労災のほうはケガと労災の記事で書きました

「休むと給料が減るから出勤する」は、給食の現場では一番やってはいけない判断です。減る分より、集団感染を起こしたときの重さのほうが、比べものになりません。

本番前にやっておく予防

  • インフルエンザの予防接種……10月から始まります。会社の補助があれば使う。高齢者施設と接する仕事なので、利用者さんを守る意味もあります
  • 家庭での二枚貝はしっかり加熱……調理員がノロウイルスをもらう経路の一つは、自分の家の食事です。かきは85〜90℃で90秒以上。職場のルールを家でも
  • 朝の体調チェックを「本当に」やる……形だけの○印ではなく、今日の自分の便と体温を思い出してから書く。ここが最初の防波堤です
  • 手洗いの2回洗いを冬に緩めない……水が冷たくなると手洗いが雑になります。手荒れ対策と両立させる話は手荒れの記事

まとめ

  • 給食の現場で体調不良のときに休むのは義務。責任者にも従事させない義務がある
  • 下痢・嘔吐・発熱・化膿した傷は調理に入らない。ノロは陰性確認まで戻れない
  • 咳鼻水だけ、家族の感染は自分で決めず申告して判断を仰ぐ
  • 連絡は症状・いつから・受診・担当の4つを朝一番に電話で
  • お金は有給→傷病手当金。休まない判断のほうが高くつく

冬の献立の話は冬メニューの記事に書きましたが、冬の厨房を回すのは献立より人です。1人が正しく休めば、残りの全員と利用者さんが守られます。休む判断を、後ろめたく思わないでください。

タイトルとURLをコピーしました