こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。
この記事にたどり着いたあなたは、いま「給食の仕事、辞めようかな」と検索したのかもしれません。まずはお疲れさまです。毎日の現場、本当によくがんばっていますね。
16年この業界にいると、たくさんの仲間の「辞めたい」を聞いてきました。実際に辞めていった人も、踏みとどまって今も一緒に働いている人もいます。そして正直に言えば、私自身も、しんどくて仕事のことを考えたくない夜がなかったわけではありません。今日はそんな16年目の目線から、「辞めたい」と思ったときの考え方を書いてみます。答えを押しつける記事ではなく、頭の整理を手伝う記事のつもりです。
※この記事に出てくる事例は、特定の誰かではなく現場でよくある話を組み合わせた架空の一例です。
辞めたくなる瞬間は、だいたい決まっている
仲間の話を聞いてきて思うのは、辞めたくなる理由はだいたい4つに集約されるということです。
- 体力の不安──立ち仕事、夏の暑さ、冬の水仕事。繁忙期が続くと「この先ずっとは無理かも」と感じる。
- 人間関係──厨房は狭い世界。合わない人と毎日顔を合わせるのはしんどいものです。
- 評価と給料──がんばっても給料が急に上がる業界ではない。周りと比べて落ち込む夜もある。
- 単調さ──毎日同じことの繰り返しに感じてしまう時期は、誰にでも来ます。
大事なのは、自分がどれで消耗しているのかを1つに絞ってみることです。「全部イヤ」になっているときは、たいてい原因が仕事ではなく疲れです。疲れているときの脳は、何を見てもイヤな面から先に見えます。
辞める前に見直したい3つのこと
①まず休む。決断はそのあと──いちばん伝えたいのはこれです。「辞める」は人生の大きな決断。大きな決断は、疲れているときにしてはいけません。休みを取って、よく寝て、仕事から一度離れてから考える。それでも同じ結論なら、それは本物です。
②「仕事」がイヤなのか「環境」がイヤなのかを分ける──料理をすること自体はきらいじゃない、でもあの現場がしんどい。そう感じるなら、辞める前にできることがあります。委託給食会社には事業所異動という選択肢があるからです。会社を辞めなくても、働く現場を変えられる。これは委託ならではの仕組みで、実際に異動で見違えるように元気になった仲間を何人も見てきました。上司に相談するのは勇気がいりますが、「辞めます」より「異動できませんか」のほうがずっと言いやすいはずです。
切り出し方に迷ったら、「辞めたい」ではなく「相談があります」から入るのがおすすめです。「今の現場で〇〇がしんどくて、続け方を相談したいんです」と伝えれば、上司も「引き止める」ではなく「一緒に考える」モードで聞いてくれます。異動のほかにも、シフトの調整や担当替えなど、辞める以外の選択肢は案外いくつもあるものです。勤務シフトの記事で書いたとおり、働き方の形は現場によってかなり違います。
③誰かに話す──厨房の中の悩みは、厨房の外の人に話すと案外軽くなります。人間関係の記事でも書きましたが、悩みを一人で抱えるのが一番危ない。家族でも、昔の同僚でも、施設の話せる職員さんでもいい、とにかく口に出してみてください。
それでも私が16年続いてきた理由
じゃあお前はなんで16年もいるんだ、という話ですよね。振り返ると、理由は4つあります。
- 「おいしかったよ」の一言──文句なしの最強です。この一言で今日の疲れが帳消しになる瞬間を、何百回も経験しました。
- 成長が積み上がる実感──調理も事務も、覚えたことが全部自分の武器になる。キャリアの記事で書いた「覚えたことは下に教え、自分は上の仕事を学ぶ」を続けていると、同じ毎日がずっと同じではなくなります。
- 生活が乱れない──夜勤なし、時間が読める。家族との生活を守りながら働ける仕事は、実はそう多くありません。
- 教える楽しさ──新人さんを育てるのは、自分の仕事が2倍になる感覚ではなく、現場が2倍強くなる感覚です。
やりがいと大変さはいつもセットです。詳しくはやりがいと大変さの記事に書きましたが、「大変さだけの時期」を越えた先に、やりがいの時期がまた来る。16年は、その波の繰り返しでした。
辞める選択も、間違いではありません
ここまで「踏みとどまる」話をしてきましたが、最後に反対のことも書きます。辞めることは逃げではありません。
体や心を壊してまで続ける仕事は、この世にひとつもない。眠れない日が続く、食欲がない、休日も仕事のことで頭がいっぱい──そんなサインが出ているなら、休むか離れるかを本気で考えるべきときです。
それに、給食で身につけた段取り力・衛生の知識・チームワークは、飲食にも介護にも、まったく別の仕事にも持っていける財産です。もし次の給食会社を探すなら、会社の選び方の記事で書いたチェックポイントが役に立つはずです。辞めるときは、ためこんだ不満をぶつけるのではなく、引き継ぎをきちんとして円満に。狭い業界ですから、良い辞め方はいつか自分を助けてくれます。
まとめ:疲れているときに、大きな決断をしない
「辞めたい」と思うことそのものは、悪いことでも珍しいことでもありません。16年続けてきた私から伝えたいのはただひとつ、まず休んで、それから考える。原因を1つに絞って、環境を変える手がないか探して、誰かに話す。それでも答えが「辞める」なら、胸を張って次へ進んでください。
あなたの毎日の仕事は、今日も誰かの「おいしかった」を作っています。その事実だけは、どうか忘れないでください。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。キッチンのりちゃんでした。


