人手不足が当たり前の給食業界では、入ってくれた新人さんに長く続けてもらうことが、現場の力を左右します。そのカギを握るのが「教え方」です。
給食委託会社で16年、調理も事務もやりながら何人もの後輩を見てきたボク(キッチンのりちゃん)が、現場で見つけた”新人が辞めない”教え方のコツを本音でお話しします。※事例は架空の一例です。
なぜ新人教育がそんなに大事なのか
- 人手不足だからこそ、一人ひとりが戦力……早く独り立ちしてもらえると現場が回る
- 定着率に直結する……最初の教え方で「続けられそう」と思えるかどうかが決まる
- チーム全体の力が上がる……教える人が増えると、現場が強くなる
ボクが大切にしている軸——「教えて学ぶ」
ボクが16年やってきて行き着いた考え方が、「覚えたことは下に教え、自分は上の仕事を学ぶ」ということです。自分が覚えた作業をいつまでも抱え込むのではなく、後輩にどんどん教えていく。そうやって自分が一つ上の仕事にステップアップしていく。
後輩を育てることは、回り回って自分の成長にもつながります。この考え方については給食業界で出世するには?でも詳しく書いています。
新人が辞めない教え方の5つのコツ
| コツ | ポイント |
|---|---|
| ①まず全体像→1つずつ | いきなり細かい作業ではなく、1日の流れを見せてから一つずつ |
| ②「なぜやるか」も伝える | 理由が分かると応用が利く・ミスが減る |
| ③見せる→やらせる→振り返り | まず一緒にやって見せ、次にやってもらい、最後に一緒に振り返る |
| ④できたら具体的に褒める | 「早くなったね」と具体的に。自信が定着につながる |
| ⑤質問しやすい空気をつくる | 「何でも聞いてな」の一言。聞けない雰囲気が一番こわい |
ありがちな失敗——これはやめよう
- 「背中を見て覚えろ」……今は通用しません。ちゃんと言葉で伝える
- 一気に教えすぎる……人は一度に覚えられない。スモールステップで
- 放置する……「あとは自分でやって」だけだと不安で辞めてしまう
- 感情的に叱る……萎縮させると質問できなくなる。事実と改善点を冷静に
分業と段取りで、新人も早く戦力になる
給食現場は作業を分担しやすいのが強みです。最初は盛り付けや洗浄など覚えやすい作業から入ってもらい、慣れたら仕込み・調理へ。マニュアルや役割分担を整えておくと、新人さんも安心して取り組めます。未経験でも働きやすい理由はこちらの記事でも紹介しています。
教えることは、自分のためにもなる
後輩に教えると、自分の作業も改めて整理されて、理解が深まります。「人に説明できる=本当に分かっている」ということ。教えるほど自分も伸びる——これが現場で16年やってきて一番実感していることです。
初日・1週目・1ヶ月目——教える内容を分ける
新人教育でよくある失敗が、初日に全部教えようとすること。人間、一度に覚えられる量は限られています。ボクは時期で区切って考えるようにしています。
初日に教えること(これだけでいい)
- 手洗いの手順と、洗うタイミング
- 更衣室・トイレ・休憩室の場所
- 体調が悪いときは必ず言うこと
- 分からなかったら聞いていいこと(これが一番大事)
調理の話は初日にはほぼしません。まず「安心して来られる場所」だと思ってもらうのが優先です。
1週目で慣れてもらうこと
- 洗い場の流れ(食器の種類と置き場所)
- 1日のおおまかなタイムスケジュール
- スタッフの名前と役割
1ヶ月目から少しずつ
- 下処理(野菜の切り方、下茹で)
- 食事形態の違い(常食・きざみ・ミキサー)
- 盛り付けと配膳
3ヶ月続けば、景色が変わります。最初の1ヶ月をどう過ごしてもらうかが、辞めるか続くかの分かれ道だと思っています。
「見て覚えろ」が通用しない理由
ボクが新人だった頃は「見て覚えろ」が当たり前でした。でも今、それをやるとほぼ確実に辞めます。理由はシンプルで、見ても分からないからです。
- 手順は見えても、「なぜそうするのか」が見えない
- 失敗したときに、何が悪かったのか自分では分からない
- 質問できない空気だと、分からないまま進んでしまう
だからボクは「やって見せる → 理由を言う → やってもらう → できたところを言う」の順でやります。特に理由が大事で、「肉は下段に置く」だけでなく「ドリップが落ちて他を汚すから」まで言う。理由が分かると、応用が効くようになります。
年上の新人さんへの接し方
給食の現場では、自分より年上の新人さんが入ってくることがよくあります。パートさんで50代・60代の方も珍しくありません。ここは気を使うポイントです。
- 敬語を崩さない……教える立場でも、年上の方には敬語で。当たり前ですが徹底します
- 「教えてあげる」の空気を出さない……「この現場のやり方はこうです」という伝え方に
- 人生経験は向こうが上……段取りや気配りは、こちらが学ぶことも多いです
- できることは先にお願いする……「野菜の下処理、お願いできますか」と役割を渡すと、早く馴染めます
年齢に関係なく、「この現場では新人」というだけ。人としての上下ではありません。ここを勘違いすると、一気に信頼を失います。
教える側が疲れないための工夫
正直に言うと、教えるのは体力を使います。自分の作業をしながら見るのは大変で、イライラしてしまう日もあります。だからこそ工夫が必要です。
- 一人で抱えない……パートさんにも「ここ見といてもらえますか」とお願いする
- 忙しい時間帯に新しいことを教えない……余裕がない時に教えると、お互い辛いだけ
- 完璧を求めない……最初から自分と同じ速さでできるはずがない、と最初に自分に言い聞かせる
- できたことを見つける……できてないことばかり見ると、教える側も疲れます
まとめ
新人教育のコツは、「一つずつ・理由も伝える・見せてやらせて振り返る・褒める・聞きやすい空気」。そして「覚えたことは下に教え、自分は上を学ぶ」。これが現場を強くし、自分のキャリアも前に進めてくれます。
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