こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。
事務の仕事のひとつに、新しく入る人の入社手続きがあります。採用が決まると、面接で使われた履歴書と職務経歴書が私の机に回ってきます。そこから社会保険や雇用保険の手続き、給与の登録、名札やタイムカードの準備が始まる。つまり私は、履歴書を「採用するかどうか」で見る人ではなく、「この紙から手続きが始められるか」で見る人です。
その目線で見ると、給食調理員の履歴書と職務経歴書には、書いてほしいことと、書かなくていいことがはっきりあります。今日はそれを、受け取る側から書きます。志望動機や面接の話は面接と志望動機の記事に書いたので、今回は「紙の書き方」に絞ります。
※登場する人物や職歴の例はすべて架空の一例です。会社名・施設名は伏せています。様式の話は厚生労働省の公開情報で確認しましたが、応募先の指定があればそちらに従ってください。
この記事でわかること
- 2021年に変わった履歴書の様式
- 受け取る側が最初に見る5か所と、数字で書く職務経歴書
- 未経験の人の書き方と、やってしまいがちな5つ
まず様式の話:2021年に履歴書は変わった
昔ながらの「JIS規格の履歴書」は、2020年7月に規格そのものが廃止されました。代わりに厚生労働省が2021年4月に様式例を公表しています。変わった点は2つ。性別欄が任意記載になったことと、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の4つの欄がなくなったことです。
受け取る側として言うと、これで困ることはありません。扶養や通勤の情報は、入社後に別の書類(扶養控除等申告書、通勤手当の届)で正確にもらうからです。履歴書に書かなくていい、ではなく、履歴書には書かなくていい。入社後に聞かれるので、そのとき正確に出せば十分です。
手書きかパソコンかは、応募先の指定がなければどちらでも構いません。給食の会社で「手書きでないと」と言われることは、私の知る範囲ではほぼなくなりました。
受け取る側が履歴書で最初に見る5か所
- 連絡先が正確か……携帯番号とメール。入社書類の案内も、社会保険の確認も、ここに連絡します。固定電話だけ、というのが一番困ります
- 住所がそのままか……住所は社会保険・雇用保険・住民税の手続きに直結します。引っ越し前の住所のまま出す人が意外と多く、入社後に全部やり直しになります
- 職歴の年月が切れ目なく書けているか……前の会社の退職年月は、雇用保険の手続きで必ず使います。「2023年頃」ではなく年月まで。空白期間があっても隠さない。手続きの過程でどうせ分かります
- 資格の取得年月……調理師、食品衛生責任者、介護食士。「調理師免許あり」だけでなく、取得した年月と発行した都道府県。名札や届出で使います。資格の全体像は資格とキャリアの地図の記事に
- 本人希望欄は短く……「早番希望」「週4日まで」など、シフトに関わることだけ。ここに志望動機を書き直す必要はありません
この5つは、採用の合否とは別の話です。合格した後に、その人の入社をスムーズに始められるかが決まります。入社書類の全体は辞めるとき・入るときの書類の記事に書きました。
職務経歴書は「数字」で書く
職務経歴書に決まった様式はありません。だからこそ差がつきます。給食の経験者が書くとき、「調理業務全般」の一言で済ませるのが一番もったいない。受け取る側が知りたいのは、どんな現場で、何食を、どの形態で、何を担当していたかです。
書くべき数字と言葉は、この6つです。
- 業態……高齢者施設、病院、保育園、社員食堂。同じ「給食」でも中身が全く違う
- 食数……1日〇食、1回〇食。100食と400食では段取りが別物
- 食事形態……常食のみか、きざみ・ソフト・ペーストまで作っていたか。高齢者施設ではここが一番見られます
- 担当工程……下処理、加熱、盛り付け、配膳、洗浄、発注、日報。「全部」ではなく主担当を
- 使っていた機器……スチームコンベクション、回転釜、ブラストチラー、立体炊飯器。機器の名前が書けると、即戦力かどうかの目安になります
- シフト……早番5時出勤の経験があるか。給食の現場で一番聞かれる点です
架空の一例を書きます。
「2020年4月〜2024年3月 〇〇給食株式会社(委託給食) 特別養護老人ホーム配属。1日約120食(朝・昼・夕)、常食・きざみ・ソフト食・ペースト食の4形態。主担当は加熱調理と盛り付け。2022年から発注と日報も担当。スチームコンベクション・回転釜使用。早番(5時出勤)・遅番のシフト制。」
これだけで、受け取る側は「どの事業所に入ってもらえるか」まで想像できます。逆に「調理業務全般に従事」だけだと、面接で全部聞き直すことになります。
未経験の人は何を書けばいいか
給食が初めての人の職務経歴書は、前職が何であれ、給食の現場で使える要素に翻訳して書くのがコツです。受け取る側が「この人は現場に入れそうだ」と思う要素は、だいたい次の4つです。
- 早起きと体力……早番があるので、朝が強いことは立派な強みです。前職で早朝勤務があったなら、そう書く
- 衛生への慣れ……飲食店、食品工場、介護、医療。手洗いや衛生ルールがある職場の経験は全部つながります
- 決まった手順を守れること……給食はマニュアルの仕事です。製造や事務で「手順どおりに正確に」やっていた経験は評価されます
- パソコンの基本……日報や食数管理はExcelです。関数が使えなくても「入力と印刷ができる」だけで書く価値があります
「料理が好き」は志望動機には書けますが、職務経歴書の中身にはなりません。未経験でも働きやすい理由は未経験でも働きやすいの記事に、最初の1か月で覚えることは未経験OKの記事に書いています。
やってしまいがちな5つ
- 空白期間をごまかす……雇用保険の履歴で前職の退職日は分かります。空白は空白のまま書いて、聞かれたら理由を答えるほうが信頼されます
- 資格に取得年月がない……「調理師」とだけ書くと、確認の連絡が1本増えます
- 職歴が「調理」の一言……上に書いたとおり、食数・形態・担当を
- 連絡先のメールが使っていないアドレス……入社書類の案内が届かず、初日の準備が遅れます
- 写真が私服のスナップ……写真を求める会社なら、清潔感が全て。衛生の仕事なので、髪と襟元は見られます。身だしなみの感覚は身だしなみの記事と同じです
履歴書は入社書類の「1枚目」
採用が決まった瞬間から、履歴書は「選考の紙」から「手続きの紙」に変わります。住所も、退職年月も、資格も、全部ここから転記されて、社会保険や給与の登録になっていく。だから受け取る側は、正確さを一番ありがたく思います。きれいな文章より、正しい年月。立派な志望動機より、つながる連絡先。
会社の選び方は会社の選び方の記事、給料の話は給与明細の見方の記事に書いています。
まとめ
- 履歴書は2021年の厚労省様式例で性別任意・扶養や通勤の欄なし。入社後に別の書類で正確に出せばよい
- 受け取る側が見るのは連絡先・住所・職歴の年月・資格の取得年月・希望欄の5か所
- 職務経歴書は業態・食数・形態・担当工程・機器・シフトの6つを数字と名前で
- 未経験なら早起き・衛生・手順・パソコンの4つに翻訳して書く
- 採用が決まった瞬間、履歴書は手続きの1枚目になる。正確さが一番の親切
私も16年前、履歴書に「調理経験あり」とだけ書いて出しました。今、受け取る側になって思います。あのとき食数と形態を書いていたら、面接はもっと短かったはずです。


