こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。
委託給食の仕事をしていると、担当する事業所の顔ぶれは少しずつ変わっていきます。新しく契約が始まる施設もあれば、契約が終わって別の給食会社に変わる施設もあります。施設から見れば「給食の委託先を変える」だけですが、厨房で働いている人にとっては、自分の職場がどうなるのかという大きな話です。
今回は、施設の給食会社が変わるとき、現場では何が起きて、働いている人はどうなるのかを、出ていく会社の側と、入ってくる会社の側の両方からまとめます。
※流れや期間は架空の一例です。実際の進め方は施設や会社、契約の内容によって違います。会社名・施設名は伏せています。
この記事でわかること
- 施設の給食会社が変わる理由と、切り替えの流れ
- 出ていく側の働く人がどうなるか
- 入ってくる側の立ち上げと、働く人が確認しておく5つ
給食会社が変わる理由
委託給食は、施設と給食会社の契約で成り立っています。契約には期間があり、更新のたびに見直しが入ります。変わる理由はだいたい次のどれかです。
- 施設側の見直し……食事の満足度、費用、対応の早さなどを比べて、別の会社を選ぶ
- 会社側の撤退……人が集まらない、人件費や食材費が上がって契約金額では続けられない、という理由で会社の方から契約を終える
- 運営の形の変更……委託をやめて施設の直営に戻す、あるいはその逆
調べてみると、最近は人手不足や人件費の上昇を理由にした委託会社の撤退が話題になることも増えているそうです。食材費の話は食材費高騰の記事に書きましたが、同じ流れが契約にも表れています。委託と直営の違いは委託vs直営の記事にまとめています。
切り替えの流れ(架空の一例)
会社が変わると決まってから、新しい会社が最初の食事を出すまでの流れです。調べてみると、準備には3か月程度をみるのが一般的と書いている会社が多いようです。
- 3か月前……施設から契約終了が伝えられる。現場の責任者と社員に会社から説明がある
- 2か月前……パートさんへの説明。今後の選択肢(後で書きます)が示される。新しい会社の担当者が厨房の下見に来る
- 1か月前……引き継ぎの資料づくり。新しい会社は保健所への手続きや人の配置を進める
- 最終週……在庫の整理と棚卸、器具の確認、引き継ぎの打ち合わせ
- 最終日の夕食後……片付けと最後の点検。制服や備品の回収
- 翌朝……新しい会社の朝食から開始
給食は1食も止められません。最終日の夕食と翌日の朝食の間の、ほんの数時間で入れ替わることもあります。この「止められない」が、給食の切り替えの一番難しいところです。
出ていく側:働いている人はどうなるか
ここが一番気になるところだと思います。委託給食で働く人は、施設ではなく給食会社に雇われています。なので、施設との契約が終わると、その厨房で働く根拠がなくなります。そこからの道は大きく3つです。
①同じ会社に残って、別の事業所へ移る
社員はほとんどがこの形です。会社の中で異動になり、別の施設の厨房に移ります。パートさんも、通える範囲に別の事業所があれば、同じ会社で働き続けられることがあります。新しい現場で気をつけることは事業所異動の記事に書いています。
②新しい会社に応募して、同じ厨房で働き続ける
パートさんに多い形です。調べてみると、パートスタッフは新しい会社に引き継がれるケースが多いそうです。新しい会社にとっても、厨房の器具や利用者さんの食事を知っている人が残ってくれるのは心強いからです。
ただし、これは自動で引き継がれるわけではありません。雇い主が変わるので、新しい会社と改めて雇用契約を結ぶことになります。時給、シフト、勤続年数の数え方、有給休暇の扱い、制服、打刻の仕方まで、条件が変わることがあります。「今と同じ」と口で言われても、新しい契約書で必ず確かめてください。契約書の読み方は入社初日の記事に書いています。
③これを機に辞める
通える事業所がない、条件が合わない、という理由で退職を選ぶ人もいます。その場合は、今の会社で退職の手続きをすることになります。必要な書類や流れは辞めるとき・入るときの書類の記事にまとめています。
出ていく側が最後にやること
最後の1か月は、普段の仕事に引き継ぎと片付けが重なります。事務を兼ねている立場から見ると、次の4つが山場です。
- 引き継ぎの資料……一番大事なのは、利用者さんごとのアレルギー・禁止食品・食事形態の一覧です。ここは紙を渡すだけでなく、新しい会社の責任者と1行ずつ読み合わせます。好みや食べ方の癖も、分かる範囲で残します
- 在庫と棚卸……最終日の在庫をどうするか(施設が引き取るのか、新しい会社が買い取るのか、使い切るのか)を早めに決めて、発注を絞ります。最終日の棚卸は棚卸のコツのとおりですが、金額の精算があるので普段以上に正確に数えます
- 器具の持ち主の確認……厨房の器具には、施設の物と会社の物が混ざっています。どれを持ち出して、どれを置いていくのかを一覧にします
- 最後の月の請求と書類……月の途中で終わる場合は、請求の締めが普段と変わります。衛生の記録は衛生記録の記事のとおり保管が必要なので、どこに残すかも決めておきます
気持ちの面では、最後まで「いつもどおりの食事を出す」ことが一番大事です。利用者さんにとっては、会社が変わることより、今日のお昼がいつもどおりおいしいことの方が大切です。
入ってくる側:立ち上げでやること
反対に、新しく契約が始まる施設に入る側の話です。
- 厨房を覚える……回転釜やスチコンの癖、冷蔵庫の場所、動線。初日から100食を作るので、下見の段階で器具を1つずつ確認します
- 引き継ぎを読み込む……アレルギーと食事形態の一覧は、最初の1週間は毎食、配膳前に全員で確認します
- 残ってくれた人を頼る……前の会社から続けて働いてくれるパートさんは、その厨房の一番の先生です。「前の会社のやり方」を否定から入らず、まず教わる
- 最初の1か月は「前と違う」と言われる……同じ献立名でも、味付けや盛り付けが変わると利用者さんは気づきます。施設の職員さんから感想をもらって、少しずつ合わせていきます
調べてみると、会社が変わると保健所への手続きも新しい会社で進める必要があるそうです。書類や検査の準備に時間がかかるので、立ち上げは現場だけでなく本部も総出の仕事になります。
働いている人が確認しておくこと5つ
もし自分の職場の給食会社が変わると聞いたら、次の5つを確認しておくと慌てずにすみます。
- 最終日はいつか……いつまで今の会社で働くのか
- 今の会社に残る場合の行き先……通える範囲に事業所があるか、シフトはどうなるか
- 新しい会社で働く場合の条件……時給・シフト・有給・勤続年数の扱いを書面で
- 今の会社の有給休暇の残り……最終日までに使うのか、どう扱われるのか
- 制服や貸与品の返却……いつ、どこに返すのか
分からないことは、今の会社の責任者か事務に聞くのが一番確実です。噂で判断せず、書面と直接の説明で確かめてください。
まとめ
- 給食会社が変わる理由は施設の見直し・会社の撤退・運営の形の変更。最近は人手不足による撤退も増えている
- 準備は3か月程度が一般的。給食は止められないので、最終日の夕食から翌朝の朝食の間で入れ替わることもある
- 働いている人の道は同じ会社で異動・新しい会社で同じ厨房・退職の3つ。新しい会社で続けるなら契約は結び直しなので条件を書面で確かめる
- 出ていく側の山場はアレルギーと食事形態の引き継ぎ・棚卸と在庫・器具の持ち主・最後の請求と記録
- 入ってくる側は残ってくれた人に教わるところから。最初の1か月は「前と違う」と言われる前提で合わせていく
会社が変わっても、厨房で作る食事を待っている利用者さんは同じです。出ていく側も入ってくる側も、そこだけは同じ方向を向いています。職場の給食会社が変わると聞いて不安な方の参考になればうれしいです。


