こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。
給食業界への就職・転職を考えたとき、必ずぶつかるのがこの疑問です。
「委託と直営、どっちで働くのがいいの?」
求人票を見ると「委託給食会社」と「施設直接雇用(直営)」の両方が並んでいて、同じ「給食調理員」でも働き方がかなり違います。私は委託会社の社員として16年働いてきましたが、現場では直営の施設側スタッフと毎日一緒に仕事をしますし、直営から委託に切り替わる現場も見てきました。今回はその経験から、両者の違いを働く側の目線で整理します。
そもそも「委託」と「直営」って何が違う?
まず仕組みの話です。
- 直営:病院や施設が調理員を直接雇用して、自前で給食を作る方式。あなたの雇い主は施設そのものです
- 委託:施設が給食業務を専門の給食会社に外注する方式。あなたの雇い主は給食会社で、働く場所が施設の厨房、という形になります
ここが大事なポイントで、委託の場合、施設長や看護師さん・管理栄養士さんは「職場の人」ではなく「取引先の人」です。同じ厨房で顔を合わせていても、所属する会社が違う。この構造が、給料・異動・人間関係すべての違いの出発点になります。
給料と待遇の違い
正直に書きます。一般的に、同じ地域・同じ仕事内容なら直営のほうが待遇は良い傾向があります。特に公立病院や公的施設の直営調理員は、給与テーブルや休暇制度が施設職員に準じるためです。
ただし直営の正規募集は数が少なく、欠員が出たときだけの狭き門です。一方、委託は求人が常に豊富で、未経験でも入りやすい。「入りやすさの委託、待遇の直営」というのが大まかな構図です。
委託の給料事情は給食調理師の年収のリアルに詳しく書いたので、数字が気になる方はそちらをどうぞ。
委託で働くメリット・デメリット
メリット:
- キャリアの選択肢が広い:会社が複数の現場を持っているので、病院・高齢者施設・保育園など、異動でいろいろな現場を経験できます。現場責任者→エリア管理→本部と、調理以外のキャリアの道もあります
- 未経験から入りやすい:教育の仕組みやマニュアルが整っている会社が多く、資格取得の支援制度がある場合も
- 現場が合わなくても転職せずに済む:人間関係や通勤で困ったら、会社に相談して別の現場に移れる可能性があります。これは直営にはない大きな保険です
- 調理と事務の両方を経験できることも:私自身、調理をやりながら請求や勤怠などの事務も担当しています。スキルの幅は確実に広がりました
デメリット:
- 契約が変わると現場が変わる:施設と会社の契約が終了すれば、その現場からは撤退。別の現場への異動になります
- 間に挟まれる場面がある:施設側の要望と会社の方針の板挟みは、委託ならではの苦労です
- 待遇は会社次第で差が大きい:同じ「委託」でも会社によって給与も休みも全然違います。会社選びがすべてと言っていいくらいです
直営で働くメリット・デメリット
メリット:
- 待遇が安定しやすい:施設の職員としての雇用なので、給与・賞与・休暇が施設基準。長く同じ場所で働けます
- 施設との一体感:利用者さんや他職種との距離が近く、「施設の一員」として働ける実感があります
- 転居を伴う異動が基本ない:その施設で働き続ける前提なので、生活設計がしやすいです
デメリット:
- 求人が少ない:タイミング勝負。働きたいときに募集があるとは限りません
- 環境が合わなくても逃げ場がない:人間関係がこじれたら、転職以外の選択肢がありません
- キャリアの天井が早い:厨房責任者になったらその上のポストは基本なく、調理以外への道はほぼありません
- 委託化の波:人手不足やコストの問題で、直営から委託へ切り替える施設は年々増えています。「直営だから一生安泰」とは言い切れない時代です
結局どっちを選ぶべき?タイプ別の答え
- 未経験からこの業界に入りたい → まず委託。入り口の広さと教育体制が違います。未経験からの始め方も参考にどうぞ
- 一つの場所で腰を据えて働きたい → 直営の募集を狙う価値あり。ただし待遇の中身は求人ごとによく確認を
- 調理以外にもキャリアを広げたい → 委託一択です。管理職・事務・複数現場の経験は委託でしか積めません。給食業界のキャリアアップで詳しく書いています
- 迷っている → 委託で数年経験を積んでから直営の募集に応募する、という順番も普通にアリです。現場経験者は直営でも歓迎されます
まとめ:「どっちが上」ではなく「どっちが合うか」
委託と直営は、よく「直営のほうが上」みたいに語られがちですが、16年この業界にいる実感としては優劣ではなく相性です。
- 雇い主が施設なら直営、給食会社なら委託。施設の人が「取引先」になるのが委託
- 入りやすさとキャリアの幅は委託、待遇の安定は直営に分がある
- 委託は「会社選び」、直営は「施設選び」がすべて
- 直営神話は崩れつつある。委託化の流れは今後も続きます
どちらの道でも、現場で身につく調理と衛生の腕は共通の財産です。まずは自分が「何を優先したいか」を決めてから求人を見ると、迷いがぐっと減りますよ。
面接を受ける前には給食会社の面接対策を、仕事の実際の一日は給食調理員のリアルな一日をぜひ読んでみてください。この仕事のやりがいときつさを正直に書いたやりがいと大変さもおすすめです。


