給食現場の日報のリアル|毎日つける数字が原価を守る【給食事務16年】

給食現場の日報のリアル|毎日つける数字が原価を守る 事務・Excel

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

調理が終わって、洗い物が終わって、「今日も終わったー」……ではないのが給食の仕事です。厨房の隅の机で、毎日最後にやる仕事があります。日報です。

地味です。正直、新人の頃は「これ、何のためにやるんだろう」と思っていました。でも16年やった今なら言えます。毎日の日報こそが、給食の原価を守っていると。今回は、業界の外からはまず見えない「給食現場の日報」の話です。

給食の日報には何を書くのか

会社や施設によって様式は違いますが、だいたい共通して書くのはこのあたりです(※項目・数字はすべて架空の一例です)。

  • 今日の提供食数……朝・昼・夕それぞれ何食出したか。常食やきざみ食など形態別に数えることもあります
  • 今日の仕入金額……食材でいくら、洗剤などの備品でいくら使ったか
  • 月初からの累計……今月ここまでの支出の積み上げ
  • 予想原価……このペースで行くと今月の原価がいくらになりそうか

1日分はたいした量ではありません。慣れれば5分か10分で終わります。ただしこれが毎日、365日続くのが給食の日報です。

なぜ「毎日」書くのか。月末にまとめてではダメなのか

答えを先に言うと、月末にまとめてやると必ず破綻するからです。理由は3つあります。

  • 記憶は1日で消える……「この納品書、何に使った分だっけ?」が月末には30枚たまっています。その日のうちなら1秒で分かることに、月末だと30分かかります
  • 異変に気づくのが遅れる……納品書の金額違い、発注ミス、請求のズレ。毎日見ていれば「あれ?」で済むものが、月末発覚だと訂正のやりとりだけで大仕事になります
  • 原価の軌道修正ができない……ここが一番大事なので、次の章で詳しく書きます

私は月末の締め作業が「大変じゃない」と言うと驚かれるのですが、種明かしは簡単で、毎日の日報で積み上げてあるから、月末は合計して確認するだけなんです。仕込みと同じで、段取りが先にできていれば本番は軽い。日報は事務の仕込みです。

日報の主役は「予想原価」

日報の数字の中で、私が毎日いちばん真剣に見るのが予想原価です。

考え方はシンプルで、月初からの支出累計と提供食数から「1食あたりいくら使っているか」を出し、このペースで月末までいったらどうなるかを先読みします。たとえば15日の時点で1食あたりの原価が予定より10円高かったら、残り半月で調整するチャンスがまだあるわけです(※数字は架空の一例です)。

  • 在庫をきちんと使い切る献立に寄せる
  • 高い食材が続く日を分散させる
  • 発注量を食数の実態に合わせて締め直す

これが月末に「今月、使いすぎでした」と分かっても、もう手の打ちようがありません。15日に気づけるか、月末に気づくか。この差を作っているのが毎日の日報です。

ちなみに無理な節約で質を落とすのは本末転倒です。目指すのは「安くすること」ではなく「無駄をなくすこと」。ここは給食1食の値段の話でも書いたとおりです。

日報がくれる「おまけ」も大きい

日報は原価管理のためだけではありません。続けていると、思わぬところで助けてくれます。

  • 食数の変化に気づける……「最近、夕食の食数が減ってきたな」に数字で気づけます。体調を崩している方が増えているサインのこともあり、施設との情報共有のきっかけになります
  • 翌月の計画の土台になる……行事食でいくら使ったか、季節でどう変わるか。過去の日報は自分専用のデータベースです
  • 引き継ぎが楽になる……数字が毎日残っていれば、自分が休んでも代わりの人が状況をつかめます。「あの人しか分からない」を作らないのも仕事のうちです

ためない・こだわりすぎない・その日のうちに

日報を16年続けてきたコツは、たった3つです。

  • その日のうちに書く……翌日に回した瞬間、精度も速度も落ちます。5分で終わるうちに片付けます
  • 完璧を目指さない……日報は提出物である前に道具です。きれいに書くことより、数字が正しく積み上がっていることが大事です
  • 型を決めて悩まない……書く場所と順番を固定してしまえば、頭を使わず手が動きます。Excelなら計算式を入れておけば、入力するだけで累計も予想原価も勝手に出ます

Excelの型づくりについては食数管理のExcel術パソコンスキルの話が参考になると思います。

よくあるつまずきと、復旧のしかた

とはいえ、書き忘れる日もあります。人間ですから。そんなときのために、私がやっている保険がこれです(※やり方は架空の一例です)。

  • 納品書は「その日の箱」に入れる……日報の元になる納品書を、日付ごとに決まった場所へ。書き忘れても翌日に箱を開ければ復元できます
  • 書き忘れた日は3点セットで逆算する……納品書・発注書・献立表。この3つを突き合わせれば、記憶がなくてもその日の数字はほぼ復元できます
  • 累計は週に一度、電卓で検算する……Excelの式が壊れていたり、入力ミスがあったり。ズレは小さいうちに見つけるほど直すのが楽です。月末に見つかった1円のズレを探す30分ほど不毛な時間はありません

大事なのは、つまずいても翌日に立て直せる仕組みにしておくことです。日報は100点を毎日取る仕事ではなく、90点を365日続ける仕事だと思っています。

まとめ:日報は「未来の自分への仕送り」

  • 日報に書くのは食数・仕入・累計・予想原価。1日5分の積み上げ
  • 月末にまとめては破綻する。記憶が新しいうちに毎日書く
  • 主役は予想原価。月の途中で気づけるから軌道修正できる
  • 食数の変化への気づき、翌月の計画、引き継ぎ。おまけの効果も大きい
  • コツは「ためない・こだわりすぎない・その日のうちに」

日報は誰にも褒められない仕事です。でも、月末の自分と、来月の自分と、いつか自分の代わりに現場を回す誰かを、確実に助けてくれます。未来への仕送りだと思って、今日も5分、数字をつけています。

月末までの事務の流れは給食事務の1ヶ月で、原価率の計算式は原価率の出し方で詳しく書いています。毎日の数字つながりでは現金管理のリアル棚卸の管理術もあわせてどうぞ。

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