給食の現場というと「調理」のイメージが強いですが、実はその裏で事務作業も毎日動いています。発注、食数管理、日報、棚卸、現金管理、原価計算、そして月末の締め——。
調理も事務も16年やってきたボク(キッチンのりちゃん)が、給食事務の「1ヶ月の流れ」を委託会社の社員のリアルとしてお話しします。※数字や事例は架空の一例です。
給食事務ってどんな仕事?
- 食数管理……毎日の食数・欠食・追加を正確に
- 発注……食材を必要な分だけ手配
- 日報……その日の食数・原価などを記録
- 棚卸……在庫を数えて金額化
- 現金管理……現場で動くお金の管理
- 原価・請求……月末にまとめて計算・報告
調理の合間にこれらをこなすのが、給食現場の事務担当の腕の見せどころです。
給食事務の1ヶ月の流れ
| タイミング | 主な事務 |
|---|---|
| 毎日 | 食数管理・日報の記録・現金管理 |
| 随時 | 食材の発注(在庫と献立を見ながら) |
| 月の後半 | 月末に向けて在庫を意識的に減らす |
| 月末 | 棚卸(在庫を数えて金額化) |
| 末締め | 原価の計算・請求のまとめ・報告 |
末締めのコツは「日々の積み上げ」
「月末の締めは大変でしょう?」とよく聞かれますが、ボクの実感は逆です。日々の入力や記録がきちんと積み上がっていれば、締めはそんなに大変ではありません。
逆に、毎日をサボってためてしまうと、月末に一気にしわ寄せが来てパニックになります。事務は「コツコツ毎日」がいちばんの近道。これは調理の仕込みと同じですね。
月末は在庫を少なくしておく
ボクが意識していたのが、月末に向けて在庫をできるだけ少なくしておくこと。理由はシンプルです。
- 棚卸で数える量が減って、作業がぐっと楽になる
- 食材のロス(廃棄)を防げる
- 原価の計算もスッキリして精度が上がる
献立を組むときから「月末までに使い切る」を頭に置いておくと、締めがとても楽になります。原価の出し方は給食の原価率の出し方もどうぞ。
一人で抱え込まず、さりげなく仕事を振る
もうひとつ大事にしていたのが、全部を一人でやろうとしないことです。事務は気づけば一人に集中しがちですが、ボクは他の社員にもさりげなく仕事を振るようにしていました。
理由は2つ。ひとつは自分がパンクしないため。そしてもうひとつは、任せることが社員の成長につながるから。覚えてもらえば現場全体が強くなりますし、自分は一つ上の仕事に手が回せます。この「教えて学ぶ」考え方は給食業界で出世するには?や新人教育・後輩の育て方でも書いています。
事務を効率化するExcelの力
これらの作業を支えてくれるのがExcelです。食数の集計、原価の計算、関数を使ったミス防止——。パソコンが得意になると、事務の時間はぐっと短くなります。くわしくは給食事務のパソコンスキルや食数管理のExcel術で紹介しています。
月初・月中・月末——事務の3つの山
給食事務は毎月ほぼ同じサイクルです。いつ何が来るか分かっているので、慣れれば計画が立てられます。
月初(1日〜5日ごろ)=いちばん忙しい
- 前月分の締め作業(食数の確定、請求データの作成)
- 棚卸の結果を反映して原価を算出
- 本部への提出物をまとめる
ここが月間で一番のピークです。締め切りが決まっているので、逃げられません。
月中(10日〜20日ごろ)=落ち着いている
- 日々の食数入力、現金の記帳(毎日コツコツ)
- 翌月の献立の確認、発注量の調整
- 行事食の準備や打ち合わせ
この時期に「先回りできる仕事」を片付けておくと、月末が楽になります。
月末(25日〜末日)=棚卸と締めの準備
- 棚卸(在庫を数えて金額を出す)
- 翌月の勤務シフト作成
- 月初の締めに向けた下準備
調理と事務を両立させる時間の作り方
いちばんよく聞かれるのが「いつ事務やってるんですか?」です。答えは「昼の提供が終わったあと」。
- 13時〜15時ごろ……昼食の片付けが終わり、夕食の仕込みまでの間。ここが事務のゴールデンタイム
- 朝の始業前……静かなので集中できます。ただし早番の日は無理
- 細切れ時間を使う……煮込んでいる間、食洗機を回している間。5分でも記帳はできます
コツは「まとめてやろうとしない」こと。1ヶ月分を月末にやると地獄を見ます。毎日5分の積み上げが、結局いちばん速いです。
事務でミスを減らす3つの習慣
- その日のうちに入力する……食数も現金も、記憶が新しいうちに。翌日になると必ず曖昧になります
- 前月のファイルを使い回す……ゼロから作らない。書式が固定されていれば、入力ミスも減ります
- 提出前に一晩置く……可能なら、作った翌日にもう一度見る。驚くほど間違いが見つかります
あと大事なのが「合わないときに放置しない」。食数が合わない、金額が合わない——小さなズレを「まあいいか」で流すと、月末に大きな謎として返ってきます(現金管理のリアル)。
事務ができると、現場の見え方が変わる
調理だけをしていた頃は、正直「材料が減ったら発注する」くらいの感覚でした。でも事務を担当してから、一皿の向こうにあるお金の流れが見えるようになりました。
- 食材ロスが原価を直撃することが、数字で分かる
- 食数の変動が、そのまま利益に響くことが分かる
- 「なぜこの献立なのか」の理由が分かる
すると調理の仕方も変わります。「使い切る献立の組み方」を意識するようになったのは、事務をやったおかげです。調理と事務、両方やる意味はここにあると思っています(給食1食の値段はいくら?)。
まとめ
給食事務の1ヶ月を楽に回すコツは、「日々の積み上げ」「月末は在庫を少なく」「一人で抱え込まず振る」の3つ。地味だけど、この習慣が締めをラクにし、現場全体を強くします。調理と事務、両方できると給食の仕事はもっと面白くなりますよ。


