給食の請求書のリアル|食数×単価だけじゃない締めの仕事【給食事務16年】

給食の請求書のリアル|食数×単価だけじゃない締めの仕事 事務・Excel

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

給食の仕事は「作って提供して終わり」ではありません。月が替わると待っているのが、請求書です。先月分の食事代を施設に請求する、月初の大仕事。ここまでやって、ようやくひと月の給食が完結します。

今回は、業界の外からはまず見えない「給食の請求書」の世界を紹介します。地味の極みみたいな仕事ですが、実は会社の信頼がいちばん試される場面だと私は思っています(※金額・仕組みはすべて架空の一例です)。

給食の請求は「食数×単価」が基本

給食委託の請求は、ざっくり言うとこういう構造です。

  • 食数×単価……朝食・昼食・夕食・おやつ、それぞれに単価が決まっていて、提供した食数を掛けて計算します。朝は軽めなので安く、夕食は品数が多いので高め、というイメージです
  • 管理費……食数に関係なく毎月かかる固定の費用です。人件費や運営費に相当する部分で、契約で決まっています
  • 行事食などの加算……お祝い膳やイベント食は、通常と別の単価がついていることがあります

つまり毎月の請求額は「固定の管理費+変動する食数分」。食数を正確に数えることが、そのまま請求の正確さになるわけです。契約の形は施設ごとに違うので、同じ会社でも事業所が変わると請求書の作り方が変わります。

肝は「欠食」の反映

請求書でいちばん神経を使うのが欠食です。入院や外泊で食べていない食事は、当然請求しません。

言葉にすると当たり前なのですが、100人分×3食×31日=約9,300食の中から、「この方は3日の昼から6日の朝まで入院」「この方は15日の夕だけ外泊」を一つずつ正確に引いていく作業です。食数管理のExcel術で書いた日々の記録が、ここで効いてきます。

毎日の食数記録が正確なら、請求書は集計するだけ。記録が曖昧だと、月初に地獄を見ます。日報や食数管理が「未来の自分への仕送り」だと言い続けているのは、これが理由です。

提出前の検算——「合計が合ってるからOK」にしない

請求書ができたら、提出前に必ず検算します。私が16年でたどり着いた検算のやり方は、こうです。

  • 合計だけ見ない……合計が合っていても、中身で間違いが打ち消し合っていることがあります。楽をしたい気持ちに勝つのが検算です
  • 日単位で突き合わせる……欠食の記録と請求の明細を、日ごとに照合します。「3日の昼から」が「3日の朝から」になっていないか。1食単位のズレを拾います
  • 両方向から見る……「欠食した方の分がちゃんと引かれているか」と「欠食していない方が満額になっているか」。片方向だけのチェックは、半分しか見ていないのと同じです
  • 見た目も整える……数字が合っていても、罫線が崩れていたり書式がバラバラだったりすると、受け取る側は「この会社、大丈夫かな」と感じます。請求書は会社の顔。中身と見た目、両方そろって完成です

16年で見てきた「ミスの型」

請求書のミスには、実は決まった型があります。型を知っていれば、検算のときにそこを重点的に見られます(※すべて架空の一例です)。

  • 1行ズレ……表で欠食を入力するとき、隣の日や上下の行にずれて入ってしまうミス。日付と名前の対応を指でなぞって確認するのが、結局いちばん確実です
  • 月またぎ……月末から翌月にかけての入院・外泊は、締めの境目でどちらの月に入れるかを間違えやすい定番ポイントです
  • 単価の取り違え……朝食の単価で夕食を計算してしまう、行事食の加算を忘れる。単価表を目の前に置いて照合します
  • 直しの直し忘れ……途中で修正が入ったとき、明細は直したのに合計が古いまま、という二次ミス。修正したら全体を再計算・再確認が鉄則です

そしてもうひとつ、有効なのが先月の確定版と見比べること。毎月ほぼ同じ構造の書類なので、先月と大きく違う数字や崩れた書式があれば、そこに何かがいます。過去の自分が最高のチェック相手になってくれるわけです。

間違えるとどうなるか

請求ミスには2種類あって、どちらも痛いです。

  • 多く請求してしまう……施設からの信頼に直結します。「先月の請求、合ってました?」と言われるようになったら、関係として黄信号です
  • 少なく請求してしまう……会社の売上がそのまま減ります。誰にも気づかれずに消えていく損失で、ある意味いちばん怖いミスです

金額の大小ではなく、「毎月、正確な請求書が当たり前に出てくる」という状態そのものが信頼なんです。給食の契約は年単位の長い付き合いなので、この積み重ねが契約の継続を支えていると言っても大げさではありません。

請求書までが「おいしい」の仕事

調理場からは見えにくい話をしてきましたが、私はこう考えています。

おいしい食事を作る。安全に届ける。そして正確に請求して、施設と会社の信頼関係を保つ。この3つがそろって、来月も再来月も、同じ厨房で食事を作り続けられる。請求書は「お金の書類」であると同時に、この現場が続いていくための書類でもあるんです。

だから私は、月初の請求書づくりを「先月の給食の締めくくり」だと思って、毎月同じ緊張感でやっています。

まとめ:請求書は毎月の「信頼の成績表」

  • 給食の請求は「管理費+食数×単価」。食数の正確さがそのまま請求の正確さ
  • 肝は欠食の反映。毎日の食数記録が請求書の土台になる
  • 検算は「合計だけ見ない・日単位で・両方向から・見た目まで」
  • 過請求は信頼を、過少請求は売上を失う。どちらも「気づく仕組み」で防ぐ
  • 正確な請求書が毎月当たり前に出てくることが、契約が続く土台になる

毎月同じことの繰り返しに見えて、毎月ちゃんと緊張する。請求書はそういう仕事です。数字の積み上げ方は日報のリアル給食事務の1ヶ月で、原価の考え方は原価率の出し方給食1食の値段で書いています。事務の仕事に興味が出てきた方はパソコンスキルの話もあわせてどうぞ。

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