食材が届かない!給食現場のトラブル対応|リカバリーの引き出し5つ【給食歴16年】

食材が届かない!給食現場のトラブル対応|リカバリーの引き出し5つ 給食の仕事内容

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

何年この仕事をやっていても、心臓に悪い瞬間があります。朝、納品された食材を検品していて——「あれ、豆腐が来てない」

給食は提供時間が決まっています。「今日は中止です」はできません。だから食材が届かない、数が足りない、というトラブルにどう対応するかは、給食の現場力がいちばん出る場面だと思います。今回は、16年で身につけたリカバリーの引き出しを紹介します(※事例・対応はすべて架空の一例です)。

そもそも、なぜ「届かない」が起きるのか

原因はだいたいこのどれかです。

  • 発注漏れ・発注ミス……頼んだつもりが頼めていない、数量の桁を間違えた
  • 業者さん側の欠品・積み忘れ……天候不良や市場の品薄で、そもそも物がないことも
  • 伝票の行き違い……納品日がズレて登録されていた
  • 天候・交通……台風や大雪で配送そのものが止まる

大事なのは、犯人探しよりも「早く気づく仕組み」です。うちの現場では、納品のたびに発注書と現物を突き合わせる検品を必ずやります(食材管理の記事で書いた基本です)。ここで気づけば、提供までまだ数時間ある。検品は「早期発見装置」なんです。

気づいたら、まず3秒で報告

足りないと気づいた瞬間にやることは、たったひとつ。責任者への報告です。

「自分の発注ミスかもしれない」と思うと、報告をためらう気持ちが出ます。でも、原因の追及はあとでいい。提供時間は待ってくれないので、対応できる人数と時間を1分でも多く確保することがすべてです。私は新人さんに「気づいたら3秒で報告。怒られるとしてもあとで」と伝えています。実際、早く言ってくれた失敗で怒ったことは一度もありません。

リカバリーの引き出し5つ

報告と同時に、頭の中で選択肢を並べます。よく使う順にこの5つです。

  • ①在庫で代替する……冷凍庫と乾物棚は宝箱です。豆腐がなければ油揚げや高野豆腐、青菜がなければ冷凍ほうれん草。日頃から「困ったときに使える常備在庫」を意識して持っておくと、ここで効きます
  • ②献立を部分差し替えする……主菜はそのまま、小鉢だけ在庫でできるものに変える、など影響範囲を最小にします。栄養や形態の条件があるので、施設の管理栄養士さんへの相談・報告はセットです
  • ③業者さんに緊急連絡……積み忘れなら午前中に届けてもらえることもあります。ダメ元でもまず電話。日頃の業者さんとの関係がこういうとき効いてきます
  • ④近隣のお店で買ってくる……少量なら最終手段としてアリです。レシートの処理など現場のお金のルールに沿って(現金管理の記事参照)、勝手に立て替えず必ず責任者の判断で
  • ⑤提供の順番と時間で稼ぐ……作れるものから配膳を始めて、間に合わせる。ただし提供時間そのものを動かす判断は現場だけでせず、施設と相談です

「数が足りない」ときの鉄則

丸ごと届かないより悩ましいのが、微妙に足りないケースです。100人分の予定が90人分しかない。このとき一番やってはいけないのが、1人分を薄くして全員に配ることです。

量が減れば、必要な栄養が届きません。特に高齢者施設では、1食の量にちゃんと意味があります。だから足りないと分かった時点で、足りない10人分を別のもので確実に作る。全員に薄いものを出すより、10人分の代替をきちんと作るほうが、手間はかかっても正解です。

アレルギー・食事形態の代替は「安全第一」

ここは真剣な話です。代替でメニューを変えるとき、絶対に外せない確認が2つあります。

  • アレルギー対応の方に代替食材が使えるか……豆腐の代わりの油揚げは大豆製品なので、大豆アレルギーの方には代替になりません。代替時こそアレルギー対応の名簿確認です
  • 食事形態に展開できるか……きざみ・ペーストにできない食材への差し替えは、その方たちの食事が作れなくなります

急いでいるときほど、この2つの確認を飛ばしたくなる。だからこそ「代替のときは名簿と形態表を必ず見る」を、急ぐ日の決まりごとにしておきます。

逆パターン——「多く届いてしまった」とき

足りないの逆、頼みすぎ・届きすぎも実はよくあるトラブルです。桁を一つ間違えて、キャベツが山のように届いた朝の絶望感といったらありません。

このときの考え方は「どう食べ切るか」です。

  • まず業者さんに相談……明らかな誤配や過剰分は、引き取ってもらえることもあります。気づいたらすぐ連絡です
  • 日持ちを確認して献立に組み込む……数日以内の献立で使い回せるか、栄養士さんと相談します。キャベツなら炒め物、汁物、サラダと出番は作れます
  • 冷凍できるものは冷凍へ……下処理して冷凍すれば「困ったときの常備在庫」に化けます。ピンチが未来の保険になる瞬間です

ただし無理に使い切ろうとして、同じ食材ばかりの献立になったり、傷みかけを使ったりするのは本末転倒。食べ切れない分をロスにする判断も、ときには正解です。原価は痛いですが、安全はもっと大事。このあたりのお金の感覚は原価率の記事で書いたとおりです。

トラブルを「次の仕組み」に変える

リカバリーが終わったら、最後にもうひと仕事。なぜ起きたかを記録して、仕組みに反映することです。

  • 発注ミスなら……発注のダブルチェックや締め時間の見直し(発注のコツ
  • 欠品が多い食材なら……代替が効く献立の組み方に寄せる(献立の組み立て方
  • 天候リスクなら……台風予報の週は日持ちする食材を厚めに(災害と備蓄の記事ともつながる話です)

同じトラブルを二度起こさない現場は、トラブルのたびに強くなります。

まとめ:トラブル対応の引き出しが「経験」

  • 検品は早期発見装置。発注書と現物の突き合わせを毎回やる
  • 気づいたら3秒で報告。原因の追及はあとでいい
  • 引き出しは5つ——在庫代替・部分差し替え・業者さんへ電話・買い出し・提供順で稼ぐ
  • 数が足りないときは「全員に薄く」ではなく「足りない分を確実に作る」
  • 代替時こそアレルギーと食事形態の確認を飛ばさない
  • 終わったら記録して仕組みに変える

トラブルのない現場はありません。あるのは、トラブルに強い現場と弱い現場だけ。引き出しの数こそが経験だと思って、今日も検品から1日を始めています。

発注の基本は発注のコツと食数管理、毎日の数字の守り方は日報のリアルで書いています。施設との連携は多職種連携のリアルもあわせてどうぞ。

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