給食の請求書は本部でどう確認されるか【5つの関門】戻される請求書の型と、戻されない出し方

給食の請求書は本部でどう確認されるか【5つの関門】戻される請求書の型と、戻されない出し方|キッチンのりちゃん 事務・Excel

こんにちは、キッチンのりちゃんです。委託給食会社で調理と事務をやって16年になります。

月が替わって最初の10日ほど、私の机には各事業所から前月分の請求書が次々に届きます。現場で作った請求書は、そのまま施設に出るわけではありません。いったん本部側で確認して、指摘があれば現場に戻し、直ったものを「確定」にして、それから施設へ送られます。

現場目線の請求書の作り方は請求書の記事に書きました。今日はその続きで、本部の確認担当が、届いた1枚の請求書をどの順番で、何を見ているのかを書きます。これを知っていると、現場で作る請求書の「戻ってくる回数」が減ります。

※確認の手順や様式は会社によって異なります。この記事は私の会社での一般的な流れを、事業所名・金額・人名を伏せて書いたものです。事例は架空の一例です。

この記事でわかること

  • 請求書が現場から本部、施設へと出ていく流れ
  • 本部が見る5つの関門と、戻される請求書の型
  • 本部に喜ばれる出し方

請求書は「現場→本部→施設」の3段階で出ていく

私の会社では、請求書の流れはこうなっています。

  • 現場……月末に、施設からもらった食数の確認表(欠食・入退去・入院の記録)をもとに請求書を作り、本部へ送る
  • 本部(確認担当)……確認表と請求書を突き合わせ、指摘があれば現場へ戻す。直ったら「確定版」として保管し、現場へ「確定しました」と連絡
  • 施設へ送付……確定版だけが施設に届く

本部の確認は、毎月10日前後までに20か所前後を回します。1か所に使える時間はそう長くありません。だからこそ「見る順番」が決まっていて、その順番で引っかかった請求書が戻されるわけです。

本部が見る順番:5つの関門

関門1:合計の前に「日単位」を見る

最初に見るのは合計金額ではありません。確認表の欠食と、請求書の食数が、日ごとに一致しているかです。合計だけ合っていても、5日の欠食が6日に付いていたら、施設側は気づきます。しかも「合計は合っている」請求書ほど、日単位のずれは見つけにくい。だから本部は、面倒でも日ごとに、しかも両方向で見ます。確認表にある欠食が請求書から落ちていないか(引きすぎていないか)、確認表にない欠食が請求書に入っていないか(引き足りないか)。片方向だけでは半分しか見ていません。

関門2:備考欄を全部読む

確認表には欠食の数字のほかに、備考欄があります。「〇日退去」「〇日から入院」「〇日再開」。ここを読み落とすと、退去した人の食数を翌日以降も数えていたり、逆に入院中の人を全部落としていたり、という指摘になります。本部の確認で一番多い戻しは、実はこの備考欄の読み落としです。数字の列だけ見て、文字の列を飛ばす。新人が必ず一度はやります。

関門3:契約の数字が今月の数字か

管理費、1食あたりの単価、パン食や行事食の加算。これらは契約で決まっていて、改定のタイミングで金額が変わります。年度替わりや契約更新の月に、前月の請求書をコピーして作ると、古い単価のまま出てしまう。本部は契約一覧と照らして「今月はこの数字」を確認します。食材費が上がっても契約単価は勝手に上げられない話は食材費高騰の記事に書きました。

関門4:数式と体裁

Excelで作る請求書は、数式が生きているかを見ます。前月の請求書をコピーして年月だけ手で打ち替えると、日付に連動していたはずの曜日や祝日の判定が止まっていることがあります。数字が「値」で貼り付けられて数式が消えている行も、本部は見つけます。

そして体裁。罫線が1本抜けている、塗りつぶしの色が前月と違う、フォントが1行だけ違う。金額が合っていても、施設に出す書類としてはここで戻ります。本部は前月の確定版と並べて、見た目の違いを探します。細かいと思うかもしれませんが、施設の事務の方は毎月同じ書類を見ているので、体裁の違いに一番早く気づきます。

関門5:合計と控え

ここまで通って、最後に合計。管理費+食数×単価+加算=請求額。消費税の計算と端数処理が契約どおりか。そして控えを残す。請求書の控えは、法人なら7年間の保存義務があります(事業年度の確定申告の提出期限の翌日から数えます)。2024年1月からは、メールなど電子でやり取りした請求書は電子データのまま保存することが義務になったので、紙に印刷して保管、では足りなくなりました。

戻される請求書の型:本部側から見た5つ

現場目線の記事では「ミスの型4つ」を書きました。本部側から見ると、戻す理由はだいたい次の5つに集約されます。

  • 欠食の反映漏れ……確認表に欠食があるのに請求書が満食。関門1で止まる
  • 日付の上下ずれ……欠食の数は合っているのに1日ずれている。関門1の日単位確認で止まる
  • 備考の読み落とし……退去・入院・再開の反映漏れ。関門2で止まる
  • 名前だけの行……入居者一覧にない名前が、前月のコピーで残っている。食数が入っていると、いない人に請求していることになる。関門1で見つかることが多い
  • 体裁と数式……罫線・塗り・年月のベタ打ち。関門4で止まる

この5つのうち、上の3つは「確認表を全部読む」で、下の2つは「前月の確定版と並べる」で防げます。現場でできる対策は、結局この2つです。

現場が本部に喜ばれる出し方

  • 確認表を請求書と一緒に送る……本部が施設側の記録を探す時間がなくなる。突合がその場で終わる
  • 変更点を一言添える……「今月から〇〇さん退去」「パン食が1人増」。本部は変更点から見るので、指摘が減る
  • 人の行には番号を付ける……「3行目の〇〇さん」より「No.12」のほうが、本部と現場の行探しが一瞬で終わる
  • 前月の確定版から作る……自分の保存版でなく、本部が確定にしたものをもとにする。体裁の戻しがゼロになる
  • 締め日を守る……本部は20か所を順に回す。遅れた1か所は、全部の後ろに回る

なぜ本部はここまで細かく見るのか

請求書は、施設が委託会社に払うお金の根拠です。1人分の欠食を引き忘れれば、施設に多く請求したことになる。逆に引きすぎれば、会社の売上が減る。どちらも信頼の話です。1回のミスで契約が切れることはなくても、毎月小さな指摘が続く会社は「確認が甘い会社」として見られます。

だから本部は、合計が合っているかより、「この請求書は、施設の記録をちゃんと読んで作られたか」を見ています。日報の数字が本部でどう読まれるかは日報の行き先の記事に書きましたが、請求書も同じです。数字の向こう側で、読んでいる人がいます。

まとめ

  • 請求書は現場→本部→施設の3段階。施設に届くのは本部が確定にしたものだけ
  • 本部が見る順番は日単位の突合→備考欄→契約の数字→数式と体裁→合計と控え
  • 戻される型は反映漏れ・上下ずれ・備考の読み落とし・名前だけの行・体裁の5つ
  • 現場の対策は確認表を全部読む・前月の確定版から作るの2つに集約される
  • 控えは7年保存。電子でやり取りした分は電子のまま

私は調理から事務に回って、この確認を受ける側から出す側になりました。その経緯は調理から事務への記事に。現場で請求書を作っていたころに「本部はここを見ている」と知っていたら、戻される回数は半分だったと思います。

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