「給食って、朝は何時から動いてるの?」——よく聞かれる質問です。答えはだいたい5時台。世の中がまだ寝ている時間から、厨房の一日は始まっています。
高齢者施設の給食を委託会社の社員として16年やってきたボク(キッチンのりちゃん)が、朝食提供の裏側をお話しします。※事例は架空の一例です。
早番の朝は5時台スタート
朝食を7時〜8時に提供するとして、逆算するとこうなります。
| 時刻 | やること |
|---|---|
| 5:30頃 | 出勤・検温・健康チェック・手洗い・着替え |
| 5:45頃 | 厨房の開錠、冷蔵庫の温度確認、器具の準備 |
| 6:00頃 | ごはんの炊き上がり確認、汁物・主菜の調理開始 |
| 6:45頃 | 盛り付け開始(形態別に分けながら) |
| 7:00頃 | 検食・配膳車へ積み込み・各フロアへ出発 |
| 7:30頃 | 提供。並行して昼食の仕込みスタート |
朝食を出し終えたら休憩……ではなく、すぐ昼食の準備。朝食は「一日の始まり」であって「区切り」ではないんです(1日の流れ)。
朝食の献立は「軽くて食べやすい」が基本
朝は食欲が出にくい方も多いので、負担にならず、でも栄養は確保するバランスが求められます。
- 和食パターン……ごはん、味噌汁、焼き魚や卵料理、漬物や煮浸し
- パンパターン……パン、スープ、ジャムやマーガリン、牛乳や乳製品
- お粥……全粥・五分粥など、形態に応じて(大量炊飯のコツ)
そして水分をしっかり。寝ている間に失われた水分を朝食で補うのは、高齢者にとって特に大事なポイントです。
朝食ならではの難しさ
①人数が少ない時間帯
早番は少人数体制のことが多く、一人あたりの担当範囲が広い。段取りが命です。
②前日からの仕込みとの連携
朝から全部作るのは無理なので、前日の遅番が仕込んでおくのが定番。「明日の朝の人が困らないように」という気配りが、チームの信頼を作ります。
③静かさとの戦い
早朝は施設全体が静か。音が響くので、扉の開け閉めや器具の扱いにも気を使います。
④体調管理が難しい
早番が続くと生活リズムが崩れがち。寝不足は集中力の低下=事故のもと。前日は早く寝る、これに尽きます。
朝食を出し終えた瞬間の空気
7時半、配膳が終わって厨房に戻ってくる。まだ外は明るくなったばかり。「今日も一食目、無事に出せた」——この安堵感が、早番のごほうびだと思っています。
そして次の瞬間には昼食の仕込みが始まる。忙しいけれど、一日のスタートを支えている実感があるのが朝番の魅力です。
早番で使う「前日からの引き継ぎ」
朝食が5時台から間に合うのは、前日の遅番が仕込んでくれているからです。ここの連携が、早番の朝を決めます。
- お米を研いで浸水させておく……これがあるだけで朝が30分違います
- だしを取っておく/汁の実を切っておく……朝は温めて味を決めるだけの状態に
- 食数の変更を書き残す……「301号室 明日から常食→軟菜」など、口頭でなく必ず紙に
- 器具の場所を戻しておく……薄暗い早朝に探し物をする時間ほど無駄なものはありません
ボクが遅番に入るときは、「明日の朝の人が困らないように」だけ考えて片付けます。それが巡り巡って、自分が早番の日に返ってくるんです。
朝食で気をつけている3つのこと
①「起きたばかりの体」に配慮する
朝は消化機能もまだ本調子ではありません。脂っこいもの・味の濃すぎるものは避けるのが基本。焼き魚も、朝は塩気を控えめにすることが多いです。
②水分をしっかり出す
寝ている間に汗で水分が失われています。高齢者は喉の渇きを感じにくいので、汁物・お茶・牛乳などで自然に水分が摂れる献立にします。夏場はとくに意識するポイントです。
③温度差をつける
全部ぬるいと、寝ぼけた食事になってしまいます。汁物は熱く、和え物や果物は冷たく。この温度差があるだけで、目が覚めるような食事になります。
早番のメリット——実は働きやすい
「5時起きはしんどそう」とよく言われますが、慣れると早番はメリットが多いです。
- 夕方には仕事が終わる……昼過ぎ〜夕方に上がれるので、午後の時間を自由に使えます
- 通勤が空いている……ラッシュと無縁。これは地味に大きい
- 役所や病院に行ける……平日の午後が空くので、用事が済ませやすい
- 生活リズムが整う……早寝早起きが習慣になると、体調が安定します
逆にきついのは、前日に夜更かしできないこと。飲み会の翌日が早番だと本当につらいので、シフトを見て予定を組むのがコツです(早番・遅番のスケジュール)。
早番に向いている人・きつい人
実際に何年もやってきて感じる向き不向きを書いておきます。
向いている人
- 朝型の人……当然ですが、これが一番大きい
- 午後の時間を使いたい人……習い事、家事、子どものお迎えなど
- 静かな環境で集中したい人……早朝の厨房は驚くほど静かです
- 段取りを組むのが好きな人……少人数で回すので、計画力が活きます
きついと感じやすい人
- 夜型の人……無理に合わせると体調を崩します
- 夜に予定が入りやすい人……前日に夜更かしできないのが地味につらい
- 通勤が長い人……5時出勤なら、4時起きも珍しくありません
ただし「慣れ」の要素も大きいです。ボクも最初の1ヶ月はしんどかったですが、3ヶ月で体が順応しました。生活リズムを揃えれば、案外いけるものです。
早起きを続けるコツ
これは半分、生活の話です。実際にやっていることを挙げます。
- 前日の夜に準備を終える……着替え、持ち物、朝食。朝考えることを減らす
- 目覚ましは離れた場所に……布団の中で止められる位置に置かない
- 起きたらすぐ明かりをつける……体が目覚めるスイッチになります
- 休みの日も極端に寝坊しない……リズムが崩れると翌週がつらい
- 寝る時間を固定する……起きる時間より、寝る時間を守るほうが大事
特に効いたのが「寝る時間を固定する」ことでした。起きる時間だけ決めても、寝るのが遅ければ意味がありません。当たり前のようで、これが一番むずかしい。
まとめ:朝食は「静かな全力投球」
朝食提供は、少人数・短時間・静けさの中での全力投球。派手さはないけれど、入居者さんの一日の始まりを作る大事な仕事です。
早起きは大変ですが、夕方には仕事が終わるのが早番のいいところ。生活リズムが合う人には、実は働きやすいシフトです(早番・遅番のスケジュール)。


